東京都立美術館に「田中一村展 奄美の光 不屈の情熱の軌跡 魂の絵画」を見に行った。これがとてもよかった。
写真を撮り絵を描いている人なので、構図が非常に写真的でありながら、写真ではあり得ない絵になっているのがとても面白かった。 特に屏風、つまり縦構図の構図の取り方が非常に勉強になった。「枯れ木にきつゝき」のような大胆に木の部分をそいである様な構図の取り方もとても面白かった。
しかし何より感動したのは、色紙の構図だった。
旅土産の色紙のシリーズはどれもこれも色彩が前面にわたるよう構図がとられており、全体の華やかさと色紙の絶妙な大きさ、色紙のほんの少し縦構図なところが生む余白が素晴らしかった。 いくつかの作品は参照元となった写真が一緒に展示されていて、「足摺狂濤」とかを見ると絵の方のパースがすこし写実的ではないことがわかる。 本来であれば海が途切れるところ、海を少しだけ垂直方向に立たせて沖が見えるような構図になっていて、写真的にはあり得ないのだけれども非常におさまりがよくて驚いた。
あと、「梨花春禽」や「花菖蒲」で使われている絹本銀地がとてもよかった。「白い花」もそうだけれども、銀地に色が乗っている様子は非常にきれいだった。 少し周辺減光のような丸い影が四隅についていたり、色が映える場所の後ろにはうっすら影がつけてあったりなど、いろいろなものを見て取ることができた。 図録だと残念ながらその良さは伝わってこなかった。
・大胆にコラージュしてしまう ・色紙のサイズ感 ・白地ではなく別の色を使う
これは一度取り入れてみたいと思った。白地ではなく別の色という部分はすでにパールプリントという形で、白というよりも銀色に輝く用紙での印刷がアオヤギ写真工芸社などでも気軽に行うことができるし、富士フイルムも結構押し出しているが、もっと大胆な色遣いをしてもいいのではないかと思わされた。 それと合わせて大胆なコラージュを行えば、背景部分の余白面積が増えてより面白いのではないかと思う。
色紙のサイズ感は一度一回り大きいサイズで印刷してカットして試してみたいと思う。ほんの少し縦に長いというのがすごくよかった。 あと、額そうした時のサイズ感がとてもよかった。
色紙のサイズ感にするとなると写真はあとからトリミングで構図を探ることになるが、難しいとは思うが少しコラージュを取り入れていい感じの構図にできないか試してみたいと思う。