InterBEEという展示会を見に行った。一応映像系の展示会ということで年に一回開催される。 かれこれコロナを挟んで4ぐらい通っていて、毎回近くのカレー屋の食べ放題を食べるのが恒例行事となっている。

カレーの食べ放題。幕張メッセの近く

さて、こんな感じで恒例行事だから展示会に行っているが、毎年の差分は段々と小さくなる。 中身で大きな違いを感じることはあまりなく、新製品の情報は事前に知っていてもちろんそれを手に取って試せるというのは大きいのだが、 それにしてもこんなに大規模な展示を毎回数千万円かけて作っては数日間開催したらまた壊してということを繰り返す意味はないような感じがする。

意味はないような感じがするのだが、効果があるのが展示会のすごいところだ。実際、コロナでなくなっても復活しているし、オリンピックでビックサイトが使えなくなったときはありとあらゆる会社が本当に困っていた。

まず中小企業にとって、新規営業先開拓の手段が事実上展示会しか存在しないというのはわかる。特に製造業とかは実物を見せる効果は高い。エンジニアの人がブースにいれば普段できない話もできる貴重な機会になる。流通業にとっても店舗販売をしておらずショールームを持っていなければ実物を多くの人に見せるいい機会になる。

大企業はとてつもなく大きなブースをコストをかけて出すことでその業界に対するプレゼンスを維持するという意味合いがあるだろう。 今回はInterBEEという映像業界、特に放送業界の展示会だが、放送業界の中という非常に狭い(といっても広いほうだと思うが)世界に対してコミットメントを示すことができる。

ドイツのケルンで行われている展示会と、ラスベガスで行われている展示会に行ったことがあるが、あちらではさらにアフターパーティーで豪勢なイベントを開くことも多く、立った数日間にかける費用は桁違いだ。 そのぐらい、toCというよりもtoB、つまり業界内の知名度というのは重要ということなのだろう。これは顧客企業のみならず業界紙などのプレスに対する意味合いも強い。

会社内の統率という意味でも、何らかの外部の締め切りがあったほうがいろいろまとまりやすい。広報関係の部署を中心に何かを完成させるということをするために展示会は一役買っているのだろう。実際、展示会では参加した社員全員で記念写真を撮るなど、お祭りというか学園祭的要素も強い。

参加する側としても展示会であれば平日の業務時間内に行けるという大きな意味がある。場合によっては出張費も出るだろう。不謹慎な言い方をすればちょっとした旅行気分で情報収集ができるのだからこれほどありがたいことはない。ショールームに単独で行くのに出張費はなかなか出ないだろうが、展示会ともなればそれなりのまとまった人数分出してもらう交渉はしやすいだろう。

そんなこんなで結局効果がある展示会。 でもやっぱりそこに数億円かけて大量のごみを毎回生み出し続けているのは無駄だなあと思ってしまう。モーターショーともなればモックアップ一つで数億円。コンセプトを示すためだけに作られ、捨てられてしまう。そんなショーを永遠と繰り返してしまっていいのだろうかと思う。1年にい1回でも大規模なものとなればもうそこにフルタイムの人が何人もついてやっとだろう。先述の通り昨年のに加えてプラス新製品という形になるだろうから、段々と陳腐化してきてしまう。

結局のところ、ルッキズムとはまたちょっと違うけれども、実際にでかいブースがある、たくさんの社員の人がいる、豪華なノベルティ、実物を触ってみることができるということに私たちはあまりにも弱いのだろう。だからこそここまでAmazonで返品が容易になっても駅前にヨドバシカメラが幅を利かせ続けている。

情報がいくらでも入る時代、事前に隅々まで比較して調べることができる。何なら実物を見たり店舗に行ったりするころにはほとんどもう決まっている。だけれども最後の一押しはやっぱり人と話しながら、実物を見ながら店舗なのかもしれないなと思う今日この頃だ。なんかいやだけど。